「より良い多摩市」に
リフォームしよう!

「より良い多摩市」にリフォームしよう!

いぢち恭子は多摩市議2期生。
初めての議員生活の中で、「これはなぜ?」「これはおかしい!」と何度も疑問や憤りにぶつかってきました。
「誰もが自分らしく暮らせる多摩市」づくりのため、ぜひ皆さまのお力をお貸しください!


 さてそれでは早速、2 期生議員の目から見たまちの課題についてです。これまでの議員生活で挑んだ課題はさまざまですが、大きく分けて以下のようにカードを整理してみました。


多摩市の困った事情① ひと・まちの高齢化

 少子高齢化は今や普遍的な課題ですが、とりわけ多摩市のそれは世界最速ペース。その大きな原因は、市の約 7 割を占めるニュータウン街区にあります。高度成長期のベッドタウンとして一時期に大量の住民を受け入れたため、当時の働きざかり世代が一斉にシルバー世代へシフトしていくのです。
 これは社会保障の対象者増+労働人口の減少という、2 方向からの税収圧迫をもたらします。
 また初期の団地のみならず道路や橋、下水道なども、揃って老朽化を迎えます。

多摩市の困った事情② アップダウンの多い丘陵地帯

 緑豊かな多摩丘陵に造られた街並みは、とにかく起伏に富んでいて上がり下がりが大変。自然の地形に加え、まちの至るところにある階段やちょっとした段差が、高齢・障害などで移動に困難を抱えた方々の悩みの種です。
 また、エレベーターのない高層住宅が多いのも多摩ニュータウンの特徴です。
 一方で、高齢ドライバーに対しては運転免許の自主返納が奨励されるとなると、移動困難者の足の確保はいよいよ重要な課題となります。

多摩市の困った事情③ 小さなまちに公共施設がぎっしり

 総面積 21k m²ほどの小さな自治体ながら、多摩市は抜きん出て公共施設が多いまちです。公民館 2、コミュニティセンター10、市民ホールなど 7、集会所 42、図書館 7。また文化ホ ールや体育館、競技場などはもちろん市立の武道館も持っていますし、市独自の施設ではありませんが 2 基の焼却炉を擁した清掃工場もあります。
 特筆すべきは公園・緑地で、総数なんと 208。市民 1 人あたりの市立公園面積は 13.64 m²/人で、東京 26 市の中ではトップの広さです。更に街路樹や橋なども非常に多い。
 これらは市の財産でありまちの魅力ともなっていますが、今後の維持・管理を考えると(1 参照)徹底的な見直しと整理が必要です。

多摩市の困った事情④ 行政スタッフに女性が少ない

 市役所の中には女性職員の姿が多く見られますが、今は官民の別なく非正規雇用が増加しており、正規職員のしかも部課長クラスとなると女性の比率はぐっと減ります。定例議会のとき議場の前方、いわゆる「理事者席」に座る市長以下の理事者の顔ぶれを眺めると、女性は厚労省から出向中の政策監と再任用の監査委員の 2 名のみで、男女平等参画条例を持つ市としてまことにお寒い限りの現状です。
 まちづくりの根幹に関わる意志決定の場に、もっと女性の視点を増やしていかなくてはなりません。

多摩市の困った事情⑤ 相次ぐ行政の不祥事とガバナンスの弱さ

 これは多摩市政の大きな泣きどころです。以下に列挙してみましょう。

  (1) 生活保護費の不適正支給
  (2) 保育所の緊急入所に関する市職員への優遇措置
  (3) 職員による不適切事務 2 件(内部通報により発覚)  

 (1)(2)は私が議員になる前のことですが、(3)は昨年発覚したもので私もたびたび追及しました。また(2)はまだ裁判で係争中であり、市側は「優遇ではない」と主張していますが、私は経緯には若干の疑義があると考えています。
 一連の不祥事の背後には、市の体質的な問題点があると思います。恐らくどこか「なあなあ」「狎れ合い」を許す職場の風土があるのです。
 庁舎内も団塊世代の職員の一斉退職にともない、若い職員が増えて人材育成に必死に励んでいます。市民サービス充実のためにも、彼らがまっすぐのびのびとキャリアを積んでいける環境にしていかなくてはなりません。

多摩市の困った事情⑥ 多摩市なのに多摩市民が入れない土地

 稲城市と多摩市の間にある空白地帯をご存じでしょうか。ここは戦争中に陸軍の施設「多摩火工廠」があったところで、今は在日米軍のレクリエーション施設が置かれています。ここにはイベントの日なら稲城市民は入れますが、多摩市民は事実上ほぼ滅多に入れません。貴重な戦争遺跡や自然環境の調査も、保護も、市民のための利活用も全くできない状態なのです。
 これは異常な事態であり、日米地位協定の改定と合わせてしっかり日本の権利を主張しなければならない問題です。私たちのまちを全部、私たちの手に取り戻す努力が必要ではないでしょうか。 


 このように問題点を並べてみましたが、もちろん多摩市には長所や利点もたくさんあります。「もっと住みたくなるまち」にリフォームしていくには、どこを掘り起こし活性化すればいいか?今度は伸びしろ部分を考えていきましょう。


多摩市のイイトコ① 元気な市民が多い

 多摩市は市民活動が活発で、文化行事や趣味ばかりでなく、まちづくりに意欲のある住民も多いと言われています。また高齢化が喧伝される反面、健康寿命が長く「元気な高齢者が多い」のも市の特徴のひとつです。
 市では「健幸まちづくり」を政策の目玉に掲げていますが、これは市民が受け手ではなく能動的に参加して初めて成果が得られることです。簡単なことではないけれど、多摩市には市民の元気とやる気を市政につないでいくポテンシャルがあると思います。

多摩市のイイトコ② 黒字経営の健全財政

 多摩市は近隣では珍しい不交付団体(国から交付税を受ける必要のない自治体)のひとつです。それにはニュータウン開発と併せて発展してきたという独自の事情がありますが、ともあれ今のご時勢に財政健全を維持しているのはまちの大きな強みです。
 しかし上述の通り、今後の行財政計画には相当な熟慮と決断と実行力が求められます。また、仮に黒字状態が維持できても、市民の暮らしの安定が保障されていなければ意味がありません。
 国や都の協力もうまく得ながら、人口減の時代に向けて“賢く縮む”優れた行政思想が必要です。

多摩市のイイトコ③ シティセールスのタネはある?

 多摩市は「ハローキティにあえる街」のキャッチフレーズを持っていますが、他にもセールスポイントはないのでしょうか。災害の少ない安定した地盤をアピールしての企業誘致、市にゆかりあるアニメ等とのタイアップ……また、都心と結ばれたベッドタウンとしての価値も、改めて掘り起こせるかもしれません。
 市内や近隣市に大学が多いので、行政との連携もかねての懸案のひとつです。足踏みしているさまざまなシティセールス戦略を、総合的にプロデュースしていく時期が到来しています。

多摩市のイイトコ④ 自治基本条例を持っている

 多摩市の憲法である「自治基本条例」には、市民がまちの主役であることが明記されています。市民がまちづくりにメインプレーヤーとして関わる権利が、はっきりと認められているのです。
 ただしこれは具体的な規定のない“理念条例”なので、現実にどのように市民がまちづくりに参画するかは書かれていません。「条例は絵に描いた餅」という批判をたびたび耳にしましたが、これを食べられる本物の餅にするためには市民と行政、そして議会の息の長い取り組みが必要です。
 せっかく作った条例を宝の持ち腐れにしないよう、不断の努力を重ねていかなければなりません。

多摩市のイイトコ⑤ 女性が多く進歩的な市議会

 「どこが進歩的?」「自慢するな!」とお叱りを受けそうですが、これはどちらかというと新人議員が多摩市と他自治体を見比べて率直に思ったことです。私が何か頑張って変えたことではないので、少なくとも手柄話ではありません。
 私も最初は「こういうものか」と思っていましたが、他市に視察に行ったりよその議員とお話ししてみると、その差に驚くことが間々ありました。女性が多いだけでなくセクハラ・パワハラ発言がない、議会基本条例がある、市民と積極的に意見交換をしている……私にすれば当たり前のことが、他では必ずしも当たり前ではなかったのです。
 もちろん現状に甘んじていいわけはなく、特に市民の側からすれば不足・不満が多々あるでしょう。個別に見ると、必ずしも市民参画に積極的でない議員もいます。けれども市議会のトータルの方向性としては、議会を改革し市民とともに進むまちづくりを目指しています。この流れを止めず、よりよい方向へ導いていくことが、多摩市リフォームにはとても大事だと私は確信しています。


 私にとって多摩市は、40 年以上暮らして思い出がいっぱい詰まった大切な“ふるさと”です。いい材料と悪い材料を並べましたが、1 人でも多くの人が「このまちに住み続けたい」と思ってくださるような、そういうまちづくりを市民の皆さんと一緒にやっていきたい。それがいぢち恭子の願いであり、信念です。